特集 建築のローカリティ


表紙は、1966年オープンの都城市民会館。2019年から解体が始まり、コロナ騒ぎが拡大しているころ、すっかり姿を消していました。設計は菊竹清訓さん、菊竹さんと言えばメタボリズムと、光や音、風といった形のないものをコントロールして造形を与えた建築家。しかし、後年お話をうかがった中からは、身体的とも言える建築の周辺環境への感受性が強くありました。場所と技術的な構想との飛躍的な幅広さを、ひとつの建築として凝縮した凄まじさは、今なお新鮮で私たちを刺激してくれます。

作品
こども本の森 中之島 安藤忠雄
解説:こども本の森 中之島 安藤忠雄


こどもえんつくしダイニングホール棟 foresta カランころ 前田圭介
解説:森のようなダイニングホールをまちへ開き相互拡張させる 前田圭介


廣澤美術館 隈 研吾
解説:巨石の空積みと全方位の庭 服部一晃・増子宏昴


リバーホールディングス本社 竹中工務店/花岡郁哉+ 千賀順+F・ペンニーシー
解説:環境を内包するワークプレイス 花岡郁哉
INSIDE VIEW :環境と体験を統合的にデザインするためのシミュレーション 花岡郁哉


作品は4題。安藤忠雄さんの「こども本の森 中之島」は、大阪の街のど真ん中、中之島に付け加えられたこどものための施設。公会堂や市役所、美術館、図書館が建ち並ぶ公園全体を子どもたちの場所にするために、市や府の垣根を越えて、前面道路を歩行者専用としたり、レクチャーのようなイベントを館内の大階段などだけでなく、公会堂などでも展開したいとのこと。普通、図書館というと建物の外に本を持ち出すのは難しいけど、ここは制度的なしばりにとらわれず、環境全体でいろいろな場所があるようにしたいと言われていました。期せずして今号は、どれも環境を意識して、新しい関係を取り結ぼうとしている建築が並びました。


200 pages
ISBN978-4-87140-964-3 C1352
2020年7月1日発行
¥2,333+税







特集
建築のローカリティ
十一人の建築家がコロナ禍に紡ぐ、ローカリティのはなし


伊東豊雄「その場の空気が感じられる、自然と一体となった風景や暮らし方」



藤野高志「地方が持つリダンダンシーとレジリエンシー」



妹島和世「環境と建築を分けないで考える」


藤森照信「意識的に考えたモノにローカリティはない」




大西麻貴+百田有希「地域に受け入れられ、対話の跡を感じる建築」


内藤廣 ローカルとグローバルを等価に扱うには」


平田晃久「自然に近いノイズに対して、建築がどれだけオープンになれるのか」


隈研吾「地方をヒントに〈箱の開放〉を果たす」




佐藤研吾「設計と施工を近づけ、〈そこにあるモノ)をつぶさに見ながら創作する」





前田圭介 人が加えた〈ひとてま〉に、長い時間を耐え得る地域性を見る」


鈴木了二 ローカル/ソシアル/異端」


特集は「建築のローカリティ」。建築には必ず敷地があり、その周辺環境があります。現代の建築家たちも、それぞれに多様な場所で、代表作をものにしてきました。今、都市と地方の関係が考え直されたり、デジタルなあり方を含めて、場所のあり方がアップデートする可能性もせめぎ合っている時に、最前線で活動する建築家のみなさんは「ローカリティ」をどう考えているのか。示唆に富んだお話をうかがうことができました。




PLOT

「(仮称)OTIAS新社屋」編
設計・語り手:大西麻貴・百田有希・伊郷光太郎・長柄芳紀
phase 3
実施設計
「東神楽町複合施設」編
語り手:藤本壮介・岩田正輝
phase 1
基本計画から基本設計まで


連載
エッセイ 地球の景色34 藤本壮介
立衛散考 西沢立衛


GA広場
レシプロカル構造による呼吸する建築
編集部
広場を町に拡張し、ゲートとなるキャノピー
畑友洋
地方都市におけるWell-beingな施設
平田晃久
建築が動くことを考える
藤野高志


GA広場は、4つのプロジェクトを紹介します。熊本の木材加工場を、壁も屋根も同様の互いに支え合う小径材で組み上げた小川次郎さん。文字通り埋没していた地下駐車場の出入り口の広場に街に広がる軽やかな屋根を架けた畑友洋さん。今、注目の前橋の街中に、大樹のような新たな街角をつくり出す平田晃久さん、身体の延長のように動きを感じる極小建築を提案する藤野高志さん。スケールを横断する建築家の思考が刺激的です。