特集  


暑い夏が終わったら、熱い巨人ゲーリーがやってくる!
建築にも様々な役割があるけれど、現代日本だから考えたい、ゲーリーが投げ掛ける問題の数々。アート的な力と、建築の倫理、市民社会の資本であること……。具体的な建築ヴォキャブラリーや産業システム。
ゲーリーが残し続けるブ厚い足跡は、どこから読んでも刺激的です。

作品
みんなの森 ぎふメディアコスモス 伊東豊雄
解説:コミュニケーションの場の回復と、適度な距離 伊東豊雄
クラーク美術館 安藤忠雄
解説:クラーク美術館 安藤忠雄
YKK80ビル 日建設計
解説:稠密な街に面する建築 亀井忠夫+中村晃子+
土屋哲夫
Junko Fukutake Terrace SANAA
解説:町並みの一部のような、公園でもあるような SANAA
パーゴラ SANAA

作品のトップは、伊東豊雄さんの「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。東日本大震災直前にスタートした計画がついに完成。建築の表現として、次の一歩を伊東さんがどう考えているかも語られています。安藤忠雄さんの「クラーク美術館」は、公園施設のような建物。豊かな自然の中で「美の殿堂」が現代的な幾何学で囲い取られる、円熟した手法が伸びやかさを感じさせます。日建設計による「YKK80ビル」は、東京という街に対する一つの提案。SANAAの岡山大学の2つの建物「Jテラス」と「パーゴラ」は、単体の建物としてもチャーミングながら、実は「都市計画的」とも言える存在。西沢さんの「豊島美術館」もつくったチームによる施工方法の提案も、その存在感に一役かっています。
 

184 total pages, 84 in color
ISBN978-4-87140-935-3 C1352
2015
91日発行
¥2,333+税

 

特集


識者による読み応え十分の座談会とインタヴューを収録
ゲーリーの主要作品を載せた年譜
両親、学生時代、建築との出会いを、ゲーリーが語る 二川由夫に聞く、ゲーリー建築20作品と10個の質問
妹島和世×西沢立衛×藤本壮介 —座談会/ゲーリーを語る—
[フランク・O・ゲーリー主要作品年譜]
田根剛「世界を変えるチカラ」
[二川由夫のフランク・O・ゲーリー・ガイド 1]
日埜直彦「ゲーリーの足跡に落ちている現代建築の種」
吉村靖孝「ルイ・ヴィトン財団に感じた希望」
[ゲーリー、自らを語る]
藤森照信「モダニズムと異なる建築の進化」
[二川由夫のフランク・O・ゲーリー・ガイド 2]
鈴木芳雄「美術館ウォッチャーが語るゲーリー建築」
蓑 豊「圧倒的な構成力が見据える未来」

特集は「フランク・O・ゲーリー」。
これまであまり語られてこなかったフランク・ゲーリーについて考えてみよう、というのが本特集の単純な出発点でした。冒頭の座談会では、妹島和世さん、西沢立衛さん、藤本壮介さんが、同じ「建築のつくり手」からの視点でゲーリーを縦横無尽に語ります。実は「それほど好きでもない」という妹島さんによる、ある意味でドライな見方が、同時代の設計者として共鳴する部分を浮かび上がらせて必読です。インタヴューでは、建築界からの視点、美術界からの視点、豪華な論陣による多岐にわたる読み解きが、相反しあいながらもおぼろげに、ゲーリー像が浮かび上がらせていきます。


PLOT
「初台のオフィス」編
設計:西沢立衛
語り手:西沢立衛・松井元靖
phase 1
空間構成
「山元町役場新庁舎」編
設計:CAt + SOY source
語り手:小嶋一浩・赤松佳珠子・大村真也・安田直民
phase 1
プロポーザル案へ至るまで
「中村キース・ヘリング美術館増改築」編
設計:北川原温
語り手:北川原温・小川貴之・北口智浩・西内元省
phase 2
収蔵庫と展示室の増築

「PLOT」では、それぞれ個性的な3プロジェクトをリポート。山の稜線や地形、掘る土の量から新しい建築の構えを追求していくC+A。自らの過去の設計に、物語がつながるように大胆に増築を考えていく北川原温さん。そして、町中にある中規模のオフィスビルに、新たな展開を試みる西沢立衛さん。基本的な部分をどう押さえ、どこにエネルギーを掛けていくか。アイディアのどの部分が、次につながっていくのか……。それぞれに異なるジャッジを加えていく、設計の断面をかいま見ることができます。


時評
エッセイ
地球の景色 5
藤本壮介


連載
二川幸夫の眼 9 安藤忠雄


GA広場
相反することを溶かし、つなげることを表現する
雲の椅子の紙の森
藤本壮介+戸恒浩人
114枚のガラスが生み出す浸透空間
Transparent Structures as Perceptural Filters
佐藤 淳
カーボン・ファイバーを使ったポップアップ構造
Weaving Carbon Fiber Pavilion 2015
隈 太一
水や土の揺らぎを感じるアーチ
藤野高志
連載
ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?9
アンズスタジオ

記事や連載も、今回は未来への種を仕込んだ話題が多くなりました。低価格化への技術革新が進みつつあるカーボンファイバー(隈太一さん)、スマホなどに使われる超高強度ガラス(佐藤淳さん)。あるいは、「イスが並んでいるだけ」とも言えるシンプルな関係がどう空間を立ちのぼらせるのか(藤本壮介さん+戸恒浩人さん)、水辺に掛け渡された橋のようでもありベンチのようでもある柔らかいアーチ(藤野高志さん)。アンズスタジオの連載では、脳科学や情報科学による衝撃的な「神経美学」が述べられます。コリをほぐすような空間体験を(できれば現地で)していただけたらと思います。