特集 

表紙を飾るのはヴァーチャルなガーデンかパヴィリオンか、ではなくて……、藤本壮介さんによる「Mirrored Gardens」の庭。GA JAPAN 120のPLOTでも設計プロセスを紹介したプロジェクト(当時の名称:Vitamin Space)が完成しました。既存建物があった場所の輪郭に、集落が写し取られたような建物群と、それが庭に写って徐々に実体が溶けていくような庭で構成されたアート・ギャラリー。IT技術全盛の現代に、森のような世界と今の建築が刺激的な関係で見えてきます。


作品
星の子愛児園新館 石山修武
解説:金属と植物―〈幻庵〉、〈開拓者の家〉の私的系譜の延長として 石山修武
草屋根 藤森照信+中谷弘志
解説:丘のように 藤森照信
コープ共済プラザ 日建設計
解説:能動的な環境素材としての緑のスクリーン 羽鳥達也
Omotesando Branches
Mirrored Gardens 藤本壮介
Whale Museum
特別インタビュー:緑と人工物、建築の新しい考え方 藤本壮介
両口屋是清 東山店 隈 研吾
解説:平屋的な〈もてなし〉を感じる軒下の積層空間 柴田淳・梅澤竜也
大分県立美術館(OPAM) 坂 茂
解説:可変する美術館を実現する 坂 茂

作品は8題。石山修武さんの「星の子愛児園新館」は、写真からでも人が建物をつくり上げる思考と手の働きが伝わってきます。一方、藤森照信さんの「草屋根」は単純に思える形態に、とにかく全体を埋め尽くす草が圧巻。日建設計の羽鳥達也さんによる「コープ共済プラザ」は、植物までも建築的プログラムの一部に統合された趣き。坂茂さんの「大分県立美術館」での壁の「動き方」を見ても、建築家のデザインはいっそう力を帯びているように感じます。

192 total pages, 84 in color
ISBN978-4-87140-934-6 C1352
2015
年7月1日発行
¥2,333+税

 

特集


―デジタル・デザイン・ツールの現在形―


中島淳雄「第三世代のデジタル・デザインと自由曲面」
「Rhino」の生い立ち
[Grasshopper」の効用「NURBS」とは?第2、第3世代のデジタル・デザイン・ツール


内山美之「現実に応えるパラメトリックな力とは」
ロジャースからザハへ
ベースモデルの「Driver」パラメトリック・デザインの必然性「Maya」と「Rhino」の連携「Digital Project」の役割生産プロセスへの3Dデータの浸透「Wing」に対するザハの理想3Dモデラーによるクオリティ・コントロール

豊田啓介「スケールを越えた関係性を感覚的に扱う可能性」
個人的経験知と高次元情報の共有
グラフィカル・アルゴリズム・エディタ「Grasshopper」と「Max/MSP」因果関係と経験則による記述自分を変えるための触媒センシングの重要度ロバストネスな可能性

山梨知彦「スムーズにデジ・アナ変換するツール」
実験から本格業務へ3DモデリングとBIMの違い3Dセンターの業務内容合目的的パラメトリック・デザイン模型の価値

斎藤浩章 「プロジェクトに最適化したデジタル・ツール・セット」
隈事務所のCGスタッフ頭の中にある3Dモデル化手順の共有3Dモデルによるスタディ方法の提案「アジャイル開発」的なスタンス「DDL」での仕事


隈 研吾「ゲームとしての程良いパラパラさ」
ペーパーレス・スタジオデジタル・ガーデニング石や木におけるパラメトリックな扱い早熟だった人たちの不自然な捻れ東大のDFLゲームとしての程良いパラパラさ


特集は「ビットモデリング」。耳慣れないこの言葉は、まだ名付けえぬ設計のプロセスの実態に迫りたいと思ったから(べつに煙にまくつもりではありません)。3Dソフトが身近なツールになり、ペンでスケッチをするように、模型材料を弄ぶように、新たな建築家の「手」が生まれているのかもしれません。一方で、ソフトを使って、どういうことが行われているのか(ぶっちゃけた話)よくわからない……。そんな小誌編集部が普段の取材から感じた、「今さら聞けない」3Dソフトの効用を多面的に聞き出しています。


対談



作品の冒頭を飾った百戦錬磨の二人の建築家による、今、考えている本音の対話を収録しています。昨今、「緑」と建築の共生を、モダン建築が見失いがちだった側面への批判的な表現と捉える傾向もあります。しかし、ここでは、より地に足の付いた「設計の現場」から見えてくるものが話されています。お二人の対話の後に、次世代の建築家による作品と思考を読むと、さらに刺激的な世界が広がること必至です。


PLOT
「富岡市新庁舎」編
設計:隈研吾
語り手:隈研吾・吉田桂子・武田清明
phase 2
基本設計までの紆余曲折
「京都府新総合資料館(仮称)」編
設計:飯田善彦
語り手:飯田善彦
phase 1
コンペからプランが固まるまで
「長崎県新県庁舎」編
設計:日建設計
語り手:山梨知彦・高橋央・平井友介
phase 2
コンペから具体的な設計まで

設計のプロセスに迫る「PLOT」は、3つのプロジェクトを紹介。隈研吾さん設計の「富岡新庁舎」は、政治状況の影響を受けながらも何を大事にしていくか、かなりダイナミックな判断が語られていきます。飯田善彦さんの「京都府新総合資料館」は、あまり複合化しないプログラムにどのようなヴィジョンを与え、それをエンジンに案を詰めていったかが語られています。日建設計の「長崎県新県庁舎」ではこれまでのノウハウをベースに、想定された構成を超えて、転換そのものを価値にしていく。三者三様のプロセスを見ることができます。


時評
エッセイ
地球の景色 4
藤本壮介


連載
二川幸夫の眼 8 内藤 廣


GA広場
その場所ならではのアートギャラリーの展開
シドニー・モダン・プロジェクト
SANAA

軽量で軟らかく災害で壊れても人が死なない構造
Nebuta Tectonics

佐藤 淳
連載
ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?8
アンズスタジオ