特集 [歴史観なき現代建築に未来はないII]

表紙は、青い天空に「素形/景」をあらわすような、内藤廣さんの「静岡県草薙総合運動場体育館」。県知事も「登呂遺跡」をイメージした形は、藤森照信流に言えば、古代のインターナショナル直後(本号の特集を参照ください)、列島の原型かもしれません。昨今の単に施設的すぎる流れに対して、2階レベルの水平の窓越しに青空が見えて、真っ直ぐな木のシェルに包まれた感覚のあるアリーナは必見です。


作品
なかまちテラス 妹島和世
解説:様々な活動が混じりつながっていく空間 妹島和世
静岡県草薙総合運動場体育館 内藤廣
解説:思いつき 内藤廣
同志社京田辺会堂 柏木由人+Olivia Shih
解説:現象と印象の"ずれ" 柏木由人
旭町診療所 田邊曜
解説:閉じながら開いていく内外の連続性 田邊曜
ミュウミュウ 青山店 Herzog & de Meuron

作品紹介は充実の9題。妹島和世さんの「なかまちテラス」は、「中と外」「さまざまな活動」が混じり合うような構成。何より実際に建物を訪れて驚くのは、「テラス」という名の通り、「町内の集会所」のような、日常的で気楽で身近な感覚が生まれること。今後の使われ方が楽しみな建築です。
ヘルツォーク&ド・ムーロンの「ミュウミュウ 青山店」は、日本のものづくりをリスペクトしたというミウッチャ・プラダと設計者による、まるで工芸品のような建築プロジェクト。建築とプロダクト、抽象と具象の間のものづくりに、日本のつくり手はとても刺激を受けるのではないでしょうか。

192 total pages, 68 in color
ISBN978-4-87140-933-9 C1352
2015
年5月1日発行
¥2,333+税

 

特集
[歴史観なき現代建築に未来はないII]
黒船襲来に対する6人の識者の見解


日埜直彦「現代建築と歴史の不健康な状態」
黒船襲来
豊かな資料と言葉の貧困「荒れ地に花」ではない現実虚構の崩壊極細の共有しかできない歴史観図面と言葉の違いナマものでも扱うべき

磯崎 新「〈黒船〉にどう処すべきか」
まず立ち位置を明確にせよ
フレデリック・ミゲルーとは何者か日本を解釈するディスコースを組み立てよディスコース,その見本

石山友美「群像劇から見える歴史の一面」
だれも知らない建築のはなし
人間関係から浮かび上がる歴史日本の現代建築に潜む特別視される何か歴史家と映像作家の違い「自分たちの問題」として捉えられていない「自分が見られている」という意識

戸田 穣「蓄積とアウトプットのギャップ」
歴史化以前の状態文化の内/外問題建築そのものとメディアの違い実物の扱いと歴史の記述歴史のアウトプット

藤森照信 「歴史なき20世紀建築の歴史」
各国それぞれの「不思議な」歴史20世紀建築の本質と歴史の関係アジアの劣等感の理由理論と結果の違い20世紀建築の中の歴史性日本の内と外の流れの差


デイヴィッド・スチュワート「日本の現代建築を〈外〉から見ると」
日本に近代建築の通史はあるのか日本は何を受容したのかものに現れる歴史現代的状況


特集は、2年前の第1回に続き、「歴史観なき現代建築に未来はない」の第2回「黒船襲来」編。これまでも「黒船」=ガイジンに教えてもらう歴史イメージが、多大なインパクトを及ぼした日本の近代建築史。当然、日本にも歴史家はちゃんといるのに……「それって、どういうこと!?」といった問題提起から始まった企画。外来の建築文化の受容と、歴史の内側からの目線、外側からの目線を重ね合わせて、現代建築と歴史観の関係を読み解きます。わたしたちの現代建築が、どこから続いてきているのか、いま、建築をつくる時にも、歴史観が栄養になることは間違いありません。


学校建築4題
流山市立おおたかの森小・中学校、
こども図書館、センター
小嶋一浩+赤松佳珠子
解説:約2,200平米に離散した森的なL壁 小嶋一浩・赤松佳珠子
立川第一小学校・柴崎図書館/
学童保育所/学習館
小嶋一浩+赤松佳珠子
解説:自在に離合集散できる風車状の壁柱 小嶋一浩・赤松佳珠子
龍谷大学深草キャンパス 和顔館 飯田善彦
解説:町のような場所を生むオープンな構成" 飯田善彦
港区立小中一貫教育校 白金の丘学園 日建設計
解説:流れによって街のような学校をつくる 日建設計

作品紹介後半は学校建築4題。現代の学校建築は、一時期のプログラム分析は成熟を迎え、公共性や都市との関係を反映させた取り組みになっています。PLOTでも設計プロセスを追っていた、CAtの「流山おおたかの森小・中学校」「立川第一小学校」も遂に完成しました。「宇土市立宇土小学校」からどのように進化したか、乞うご期待。


PLOT
(仮称)飯山ぷらざ」編
設計:隈研吾、
語り手:隈研吾・川西敦史・寺川奈穂子・田中邦明
phase 4
現場での決定事項

PLOTでは、隈研吾さんの「飯山ぷらざ」の設計プロセスを紹介。完結した形を反復しがちだったホール建築を考え直していきます。ズラリと並んだイスだって空間の一部で、それをどのように考えられるか。GA JAPAN 132の特集「ホールの現在形」にも通じるかもしれません。


時評
エッセイ
地球の景色 3
藤本壮介


連載
二川幸夫の眼 7 石山修武

「二川幸夫の眼」では、石山修武さんが登場。石山さんならではの二川幸夫像をお話いただきました。


GA広場
海に浮かぶ島々におかれたオブジェ
直島パヴィリオン,小豆島のバス停
妹島和世

異ならない場所をつくる「1/f ゆらぎ」
The University DINING

K&H+佐藤淳
木組ユニットと透明フィルムによる有機的なパヴィリオン
The One 南園パヴィリオン
隈研吾
連載
ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?7
アンズスタジオ

アンズスタジオの連載では、「動き」と「時間」が反映されたプロジェクトのレポート。日本でも時々あるけど一段階違う。ぜひ一度見てみたい!
GA広場では、藤本壮介さん、島田陽さんのプロジェクトを紹介。瀬戸内海にできた2つのオブジェからも、モノを生み出すパワー、追求することのスゴさ、そして、そんなこと感じさせず発揮される魅力を実感できるのでは。